鯨の爆発
wikipediaの『鯨の爆発』の項が非常に面白かった。きっかけは、tumblrのほうで“「Tb」(真実だと信じられて いるが完全には立証されていない)”という引用が流れてきて、引用元であった『鯨の爆発』を読んだ。wikiを読んで面白いというのは、情報か ら情報へと繫がっていくのが面白い、というのが普通なんだろうけど、読み物として面白い。というか、読み物じゃないのに読み物みたいな風体をしているもの が、読み物がいないはずの場所にいる、ことに面白いと思ってしまった。鯨と爆発、という、そんな二物衝突がひとつの事象として辞書として登録されているの も変だと思った。この世に、あ、そうだ、ポアンカレ予想の詳細をwikiで調べよう、という人はごまんといるだろうけれども、そうだ、鯨の爆発について調 べようという人は、日本語文化圏で2桁に達しないと思う。そしてその内容も、記述する、というより、描写する、という風に読める。そしてなんとなく、事象 としても文章としても、村上春樹っぽい。
オレゴ ンの爆発
1970 年11月、体長 14メートル、重量8トンのコククジラが、オレゴン州フローレンス近傍の海岸に打ち上げられて死んだ。当時、オレゴン高速道路局 (現在のオレゴン運輸局)がこの海岸の管轄であり、クジラの死骸を取り除く責任を負っていた。米 国海軍と協議の末、岩をどけるのと同じ方法でクジラをどけるのが最良で あろうと結論付け、11月12日に、クジラを爆破するために500kgのダ イナマイトを使った。この決定は、クジラを埋めてもすぐに顕れてしまうから意味がないだろうが、ダイナマイト を使えば清掃人が片付けられる程度に小さい破片に分解することができるだろうと考えたためだった。この作業の責任者ジョージ・ソーントンは、一回分の爆破 では不十分でもっとたくさん必要かもしれないと語ったと記録されている。後にソーントンは、この管区の技師デイル・アレンが狩りに出かけていたためにクジ ラを取り除く作業に抜擢されたのだと語っている。
爆破の結果はテレビのニュースレポーター、ポール・リンマンによってテープに 記録されていた。リンマンはナレーションで、「爆発がクジラの脂肪を 信じられない範囲に飛び散らせた」ために「青臭い記者」が今や「脂臭い記者」になったと冗談を言った。この爆発によりクジラの脂肪の大きな塊が、海岸から かなり離れた距離にまで落下し、自動車を 叩き潰した。しかしクジラの大部分は分解せずに残り、オレゴン高速道路局の局員が撤去しなければならなかった。
このニュースの終わりに、ポール・リンマンは「レーン地域に再びクジラが流れ着くことがあったとしても、責任者は何をするべきかを忘れない ばかりで なく、何をするべきでないかも忘れることはないだろう」と述べた。1979年に41頭のマッコウクジラが近くに着岸したが州の公園当局はそれを焼いて埋め たことが、オレゴン運輸局の従業員新聞 TranScriptで報じられた。現在、海岸の責任者は着岸して死んだクジラは沖へ曳航すること にしている。これは主に安全上の理由からである。腐った死体はサメを おびき寄せ、海岸の利用者を危険にさらすことになるためである。2004年9月30日、成体のザ トウクジラが南 アフリカ共和国、イーストロンドンにあるボンザ湾に着岸して死んだ。このクジラを沈めるために、当局は海 へ曳航し、遠隔で爆破した。
数年間は爆発する鯨の話は単なる都 市伝説だと考えられていた。しかし人気作家デイブ・バリーが1990年5月20日のマイアミヘラルドのコラムにこ の事件の場面を書いたことで広く公衆の関心を集めた。いくらか後に、この記事の簡約版が「Farsideがオレゴンで現実に」というタイトルで電 子掲示板で配信されてから、オレゴン州高速道路局にメディアから問い合わせの電話がかかりはじめた。しかし、こ の電子掲示板の記事は、その事件が25年も前に起こったことだということを伝えておらず、バリーの記事をコピーした誰かはその元記事の筆者が誰かを記すの を怠っていた。デイブ・バリーによると、定期的に誰かがその「作者不明」の記事が転送してきて、その事故になんらかの記事を書いただろうと言ってくるのだ という。これらの見落としのために、オレゴン運輸局のTranscriptは、以下のように記した。
- 「電子掲示板にその話が掲示されてからというもの、我々は国中の詮索好きな記者からの問い合わせの電話がかかり始めた。」とオレ ゴン運輸局の広報 コーディネータ、エド・ショープは語った。「彼らはそのクジラが最近流れ着いたものだと考えており、政府が脂肪のことでドジを踏んだニュースに興奮してい る。彼らはその話が25年の埃をかぶっていると知ると落胆している。」
- 「ショープは記者やオレ ゴン、サ ンフランシスコ、ワ シントンDCおよびマ サチューセッツの単なる物好きからの電話の対応に追われている。ウォールストリートジャーナル、 ワシントンDCの雑誌Governingが今年の6月号でその着岸したクジラについての不滅の伝説について特集した。そしてまだ電話は鳴り 続けている。「定期的に問い合わせが来ます」とショープは語った。彼の電話はオレゴン運輸局のクジラホッ トラインと化した。「25年も前の話で未だに電話をかけてくる人がいるというのは面白いですよ。」」
オレゴンの爆発するクジラの話は、一時期Usenetでも広く知られており、特に都 市伝説のためのニュー スグループ、alt.folklore.urbanで議論されていた。この事故は、バリーの記事の完 全なコピーも含めて、このニュースグループの1991年のFAQに記録され、ピーター・ヴァンデルリンデン によってメンテナンスされた。その当時は「Tb」(真実だと信じられて いるが完全には立証されていない)に区分されていた。1992年に投稿者snopesがこれを本当か嘘かを確かめようと試みて、ニュースグループは真実で あるという報告を受け、こうしてこの情報は真実に区分された。
へんなの。
なんかそれは引き合いに出すのは別に他のアメリカ文学でいくらでもありそうなのに春樹っぽいとか思ってしまうのはお前そりゃ『象の消滅』がだろう、 といわれてしまえば、間違いなくそうなんだけど、推測だけど、この文章を書いた人間も、純然といわゆる“知識”を共有しようという善意よりかは、読んで て、それがどういうものとはいいがたいけど、悪意に満ちた編集人が頑張っちゃった、というような印象をうける。
『象の消滅』は、動物園から象が消えて、やれやれ、という短編である。『鯨の爆発』は、鯨の肉片を街中に吹き飛ばしちゃって、やれやれ、という話で ある。ペニスも出てくる。
本当だ、一緒だ、と思った人がいたら馬鹿だと思う。
嫌いじゃないけど。
久々の日記がこんなものでいいのだろうか。
なんか世間では『book3』だったり、馬鹿野郎このやろうを連呼する映画だったり、鯨を捕っている人が“ジャパニーズヤクザ”といわれる映画だっ たり、しているのに。
そういえば、ミニコミ誌を発刊するからと書き物を頼まれて、“いつものブログみたいな感じで結構ですよ”といわれたのだけど、そもそもその時点で ちゃんとした日記めいたものを書いていなかったので、あの時頼まれた“いつものブログ”に相当するものはあの太宰治『女生徒』自動翻訳繰り返し文章でいい のだろうか。違うよね。もう2ヶ月。